腐植酸を投入することで期待できる直接的な効果(植物体に直接与える効果)として、発根・根毛形成の促進があります。腐植酸の中には一部水に溶ける腐植酸が含まれており、それは極微量でも発芽や発根、根や茎の生育を促進する植物ホルモンに似た作用があることが分かっています。
間接的な効果(土壌を介して植物体に与える効果)としては、保肥力の向上、微生物の活性化、リン酸固定の軽減が期待できます。腐植酸はマイナス電気を帯びており、カリやマグネシウム、カルシウムなどの陽イオン元素を保持し溶脱を防ぎます。また、土壌微生物の住処やエサとなって微生物の活性を高めることにより、土壌の団粒構造が形成されます。
さらには、近年問題となっているリン酸の固定化を腐植酸のキレート作用(金属イオンと有機物との化合)によって植物に吸収されやすい状態にし、土壌の改善が期待できます。特にリン酸吸収係数の高い土壌(火山灰土壌など)ではその効果が大きく、蓄積した過剰なリン酸成分を有効活用することができます。